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二代目の鵠沼郵便局第0162話で紹介したように、鵠沼で最初の郵便局は、1907(明治40)年正月に東屋に付随して開設された。この位置は、当時の鵠沼村のエクメーネ(居住空間)では最南端に位置し、村民のためというより旅館の長期滞在者のためという狙いで設置されたものであろう。いわば村はずれにあった郵便局である。江之島電氣鐵道開通後5年足らずで、別荘地開発がようやく軌道に乗り始めた頃である。別荘地開発が完成期に達しようとしていた1919(大正8)年暮れ、鵠沼郵便局は下岡6642番地から下岡6660番地に新築移転した。番地だけを見ると少しずれたという感じだが、かなり離れている。現在の住居表示でいうと、鵠沼海岸2-7-3から鵠沼松が岡3-23に移動したのだ。東仲通り(天金通り)の小田急線踏切(もちろん当時小田急線はまだ開通前である)北方100m足らずの西側といった位置で、移転後の現在も付近に郵便ポストが名残をとどめている(ポストの位置は郵便局跡地というわけではない)。 その翌年、旅館東屋に付随して「鵠沼郵便局」が開設された。恐らくこの当時は鵠沼村の居住空間としては最南部に、医院に続いて郵便局が設置されたのである。かくして旅館東屋は鵠沼村のインフラストラクチャーの拠点となっていった。 旅館の長期滞在者のためという狙いから別荘族のためという狙いに変化して設置されたものであろう。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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