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第0193話 鵠沼文化人百選 その010 岸田劉生

プロフィール

 岸田劉生(きしだ りゅうせい 1891(明治24)年6月23日-1929(昭和4)年12月20日)は洋画家
 銀座「精錡水本舗」岸田吟香の4男に生まれる。7男7女の9番目の子であった。
 フューザン会、草土社、春陽会創立メンバーの中心的存在。白樺同人。後年、日本画、水墨画に手を染める。雑誌や本の装丁も多い。また、文筆が立ち、絵画論、評論など多数発表、鵠沼時代の絵入り日記は日々の出来事や交友関係、心情が詳述され、劉生研究に、近代美術史研究に欠かせない第1級の資料である

鵠沼とのゆかり

 1916(大正5)年、武者小路をたずねて初めて鵠沼に来る。翌年鵠沼松が岡3-23佐藤別荘に居住。(1917.2.23-1917.6.24) ここが絵の制作に不向きだったため鵠沼松が岡4-7-10松本別荘に移り(1917.6.24-1923.9.1)ここで「麗子」「村娘お松」の連作や「窓外風景」など鵠沼の風景を描いた作品は《劉生の鵠沼時代》といわれ彼の最も充実した時期として有名である。
 1923.9.1 関東大震災に遭遇し洋館のアトリエは倒壊を免れたものの母屋は倒壊、9.17に鵠沼を離れた。

岸田劉生 鵠沼関係年譜
    
西暦 和暦 記                        事
1915 大正 4     画家=岸田劉生(1891-1929)、武者小路実篤を訪う
1916 大正 5 2 22 岸田劉生、鵠沼に滞在して絵を画く
1917 大正 6 2 22 岸田劉生、鵠沼松が岡3-23の佐藤別荘に移住
1917 大正 6 6 24 岸田劉生、松本別荘(鵠沼下岡6732-13・現鵠沼松が岡4-7-10)へ移る
1918 大正 7   岸田麗子、初めて父=劉生の『麗子五歳の像』のモデルとなる
1920 大正 9 1 1 画家=岸田劉生、数え年30歳になったことを期に『鵠沼日記』を5年7ヵ月にわたり記述
1920 大正 9 3   岸田劉生の許に葉山サダ(『村娘像』のモデル=マツの母親)が手伝いに入る
1921 大正10 3   ~5月、画家=棟方寅雄、岸田劉生宅に寄食
1921 大正10 12   ~翌年3月、画家=棟方寅雄、岸田劉生宅に寄食
1923 大正12 8 12 医師=富士 山、岸田麗子を往診
1923 大正12 9 1 大正関東地震で自宅が倒壊。津波を恐れ石上に避難する
1923 大正12 9 16 岸田劉生、鵠沼を去り名古屋へ出発
1929 昭和 4 12 20 画家=岸田劉生(1891. 6.23-1929.12.20)、腎臓尿毒症に胃潰瘍を併発して急逝
1930 昭和 5 5   岸田 蓁、雑誌「いとし児」の5月号に「吾子のモデルの想出」発表
1947 昭和22 9 25 岸田劉生著『鵠沼時代』(建設社)刊行
1948 昭和23 1 18 岸田劉生著『鵠沼日記』(建設社)刊行
1948 昭和23 4 5 雑誌『青森美術』第3巻第3号に棟方寅雄:『回想の劉生』掲載。小見出しに『鵠沼の家』
1952 昭和27     岸田劉生の『劉生絵日記(全3巻)』、竜星閣より刊行
1954 昭和29     岸田麗子、鵠沼に来訪。逸見重雄宅に立ち寄る
1958 昭和33 5   岸田麗子、『鵠沼に住んでいた頃』を発表[現代の眼42号 (名作のモデル)]
1961 昭和36     岸田劉生『麗子像』のモデル岸田麗子と『村娘像』のモデル川戸マツ、40年ぶりに再会
1971 昭和46 7   美術評論家=土方定一、「鵠沼、鎌倉時代の劉生」『神奈川県美術風土記・明治大正篇』を発表
1979 昭和54 10 20 岸田麗子:『父岸田劉生』、読売新聞社より刊行
1985 昭和60 4 25 匠秀夫、『岸田劉生の鵠沼時代と「白樺」〈武者小路実篤と白樺美術展特集〉』を発表
1985 昭和60 5 14 鵠沼を語る会、会誌『鵠沼』26号刊行(岸田劉生・鵠沼の『麗子像』:伊藤節堂)
1987 昭和62 10   中央公論社、中公文庫として岸田麗子『父岸田劉生』を刊行
1990 平成 2     毎日新聞社、『岸田劉生 : 麗子と鵠沼風景図録』 '91生誕百年記念として刊行
1994 平成 6 10 9 鵠沼を語る会、岸田劉生の『村娘像』のモデル、川戸マツを招き、話を訊く
1998 平成10 3 30 鵠沼を語る会、会誌『鵠沼』76号刊行(劉生の住んだ別荘―松本陽松園の記録)
2003 平成15 3 31 鵠沼を語る会、会誌『鵠沼』86号刊行(岸田劉生の住んだ別荘・他)
2004 平成16 10   鵠沼を語る会、NHK「新日曜美術館」岸田劉生の鵠沼時代再現で協力
2010 平成22 11 23 ~12/28、生涯学習大学かがやき学部岡田哲明会員による岸田劉生と鵠沼開講
2011 平成23 3 31 鵠沼を語る会、会誌『鵠沼』102号刊行(岡田哲明:「岸田劉生と鵠沼」)
E-Mail:

鵠沼を語る会 副会長/鵠沼郷土資料展示室 運営委員 渡部 瞭

[参考文献]
  • 鵠沼を語る会:『鵠沼ゆかりの文化人』(2007)
  • 岡田哲明:「岸田劉生と鵠沼」『鵠沼』102号(2011)
 
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