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縣立農事試験場蠶業部1910(明治43)年、藤澤町鵠沼字横須賀(現日本精工敷地)に《神奈川縣立農事試験場蠶業部》が設立されることになった。これは「縣下ノ風土ニ適應スヘキ育蠶法及栽培法等ヲ研究シ當業者ニ模範ヲ示スト同時ニ蠶種ヲ配付シ傍ラ講習生ヲ募集シテ蠶絲業ノ指導經營者ヲ養成スル趣旨ヲ以テ新營シタルモノ」(神奈川縣立原蠶種製造所事業報告)であり、完成したのは1912(大正元)年であった。 この施設は、翌年2月には《神奈川縣立原蠶種製造所》に改称した。 当時の日本の最重要輸出品は生糸であり、その最大の輸出港=横浜の後背地たる神奈川県にとっては、最も力を入れるべき産業は養蚕業と製糸業であった。 県土の中央を占める相模野洪積台地は、水利が悪く水田耕作に不適であったから、弥生時代医以降は未開発の林野が多かった。従って養蚕業の発展は、県土開発の最も有用な方法であった。 しかし、湘南砂丘地帯では、近郊農業の発展は見られたが、養蚕業は主力な産業にはならなかった。 1927(昭和2)年10月2日、縣立原蠶種製造所の藤沢より海老名へ移転方針決定した。 その跡地は神奈川県から藤沢町に譲られたが、その処分は鵠沼にとって重要な意味を持つことになる。これについては別項を設けたい。  | ||||||||
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