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葉山又三郎、破防法容疑で特高に逮捕され、拷問を受ける6期にわたり藤沢市長を務め、藤沢市名誉市民となった葉山峻の父親は、戦後初の地方選で大和田武とともに日本共産党から藤沢市議に立候補し、全国的にも初めてといわれるダブル当選を果たした葉山又三郎である。葉山家は代々堀川の大地主で、又三郎の父又兵衛は小作にも人望があった。第0261話で紹介した現在《鵠沼松が岡公園》になっている土地を村川堅固に売ったのも葉山家だったという。葉山又三郎夫妻については、高木和男が『踏み拓いた峠道:葉山又三郎とふゆ子の記録』という評伝を著しているが、現在絶版で、私は目にしていない。 1931(昭和 6)年2月の『湘南新聞』に「葉山又三郎、破防法容疑で特高に逮捕され、拷問を受ける」という記事が掲載されている。葉山 峻が誕生したのは1933(昭和 8)年5月1日、メーデーの日だったが、「峻」という名前は父又三郎に対してあまりに峻烈な拷問が加えられたことから名づけられたと伝えられる。又三郎は峻の誕生を大いに喜び、十八畳の大凧を作って祝ったという。5月は鵠沼の凧揚げのシーズンであった。 又三郎の逮捕、拷問の経緯については、上記『踏み拓いた峠道:葉山又三郎とふゆ子の記録』に述べられていると思うが、図書館等にも今のところ見当たらない。人物像については、隣家の若尾肇氏が『鵠沼』第75号(1997)に「葉山家の人々」と題して寄稿されているので、そこから抜萃しよう。
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