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第0182話 鵠沼海岸商店街@

鵠沼海岸商店街のはじまり

 1914(大正3)年4月10日付「横浜貿易新報」に「旅館あづま家付近は本年に入り新築家屋非常に増加し、いづれも商業を為す目的にして一寸町の体裁を為すに至りしは珍しき発展といふべし」という記事が載っている。
 しかし、実際の商業活動は、鵠沼別荘地に旅館、別荘が形成された明治30年代には始まっていた。地元の農家や漁師たちが御用聞きに入り注文の野菜や鮮魚を届けていたのである。
 この商店街は、別荘、旅館などへの御用聞きは別として、原・堀川などの農家が、道沿いに簡単な造作をして、スイカ、桃、飲み物などを並べ、海水浴客や旅館の滞在客を相手に商売したのが最初であろう。常設の店舗になったのは、大正期に入ってからだと思われる。
 次の年表は、『商工名鑑』などに開業年が明記されている小田急開通以前創業の老舗である。

小田急開通前の鵠沼海岸・江ノ電鵠沼駅付近出店年表
西暦 和暦 記                        事
1904 明治37   長谷川豆腐店(豆腐製造販売)、鵠沼海岸2-6-4に開業
  明治末期   植定、開業
  大正初期   八百屋(屋号不詳)・高木建具店・小林養鶏場・山下養鶏場、開業
1913 大正 2 有田金八、鵠沼海岸に蕎麦屋名月庵を開く(現在の有田商店の前身)
1918 大正 7     高梨キヨ、植藤造園を開業
1919 大正 8     江電舎、開業
1920 大正 9   有田金八、蕎麦屋名月庵を閉じ、向かいの芦原を開いて精肉店・食堂に事業拡大
1921 大正10     床春・魚岩・有田煙草店、開業
1923 大正12     斉藤百貨店、北側に移って拡大
1923 大正12 八百力商店(青果販売)、 鵠沼海岸2-5-2斉藤百貨店跡に開業
1924 大正13     ながい(酒類,食料品販売)、 鵠沼藤が谷2-8-14に開業
1926 大正15 10   小林理髪店(→理容やながわ)、鵠沼海岸2-7-1に開業
1926 大正15     カルガン本社(洋菓子製造販売)、鵠沼海岸6-7-21で創業
1926 昭和元 12   番場米店(米穀販売)、鵠沼海岸2-4-10に開業
1926 昭和元 12   山口屋酒店(酒類販売)、鵠沼海岸3-3-2に開業
1926 昭和元 12   山上商店(タバコ販売)、鵠沼藤が谷3-10-16に開業
1927 昭和 2     長洋服店(紳士服販売)、鵠沼藤が谷2-2-10に開業
1928 昭和 3     有田商店(酒類,肉,食料品販売)、鵠沼海岸2-1-17に開業
1928 昭和 3     稲葉屋(燃料,食料品販売)、鵠沼藤が谷3-3-3に開業
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鵠沼を語る会 副会長/鵠沼郷土資料展示室 運営委員 渡部 瞭

[参考文献]
  • 特集 鵠沼海岸商店街100年の歴史『鵠沼』第81号(2000)
 
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