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第0018話 多彩なハワイ文化

 余り多くの方が気づいてはおられないことかも知れないが、ビーチリゾート鵠沼はハワイ文化の溢れる地域である。
 ハワイに関する店舗数が多く、その種類も多い。これらの店舗の多くは、屋号にハワイ語を用いている。
 しっかりと調査したわけではないが、おそらく、その面では全国屈指といって良いのではなかろうか。

サーフショップ

 鵠沼海岸が日本におけるサーフィン発祥の地であることは、夙に知られている。
 このことについては、別項を立てて後ほど詳説する予定である。
 サーフィンは、そもそもハワイを含むポリネシアで今から1500年も前に始まったスポーツだといわれる。今日のような形態のサーフィンが世界に普及したのは、第二次大戦後で、まず、ハワイから米西海岸に伝わった。間もなくこの流行は米兵によって占領下の日本に持ち込まれた。
 前項に記したように、その頃、西浜と鵠沼の間には旧引地川の河跡湖が残っていたりしたが、道路から砂浜に車を乗り入れることも可能だったので、神奈川県北部の米軍施設から休日になると米兵たちが浜辺でバーベキューやサーフィンを楽しむためにジープで乗り付けるようになり、地元では「GIビーチ」と呼ぶようになった。また、彼らをまねて手製のサーフボードに乗る地元少年も現れた。何を隠そう、この少年とは鵠沼を語る会会長の内藤喜嗣氏である。
 1959年、米クラーク社が開発したFRP技術によりサーフィンが急速に普及する。米兵によって間もなく鵠沼海岸にも見られるようになり、湘南学園の佐賀兄弟などが米兵から技術を学んだ。1962年、彼らによって日本初のサーファー組織「サーフィング・シャークス」が鵠沼で誕生した。
 ほぼ同じ頃、湘南各海岸や千葉県の鴨川でも同様な事情からサーフィンが始まり、1965年11月、江ノ島海浜ホテルに鵠沼・辻堂・茅ヶ崎・大磯・鎌倉・鴨川などの代表者8人が集まって行われた話し合いにより、日本サーフィン連盟が設立され、翌年鴨川で第1回大会が開催された。
 以後、鵠沼海岸は日本におけるサーフィンのメッカとして発展してきた。交通アクセスもよく、海底地形の関係から初心者の練習用スポットに恵まれ、サーフィンスクールを兼ねたサーフショップが国道134号沿いに軒を連ねるようになった。
 都道府県別のサーフショップ数は神奈川県が151軒でトップであり、2位千葉県の124、3位静岡県の120を大きく上回る。神奈川県内では藤沢市が68軒で群を抜いて多く、うち鵠沼が28軒を占める。もちろんこれは鵠沼が日本一のサーフショップ集中地区であることを示す。

ハワイアン音楽とフラ

 「文士宿」東屋は、1939(昭和14)年に廃業したが、建物は戦後まで残っていた。そこにはダンスホールもあった。また、かつての鉄道省海の家も1938(昭和13)年で使われなくなったが、1949(昭和24)年、キティ台風で流されるまでは残っていた。
 戦後間もない頃、そうした施設は慶應や立教の学生たちのたまり場として利用されたという。彼らは音楽やダンスで交流を深めた。進駐軍によって持ち込まれたジャズも流行っていたが、楽器が安価で、ビーチリゾートの雰囲気にも合うハワイアン音楽に人気があった。いくつかのハワイアンバンドが生まれ、競い合った。その雰囲気を今日まで伝えているのが鵠沼新道沿いのハワイアン専門のライブハウス、「湘南カイアロハ」である。ここではウクレレ教室も開かれている。ハワイアン専門のライブハウスというのは、全国的にも珍しいのではなかろうか。
 鵠沼公民館は、登録サークル数が250を超える超過密公民館だが、そのうち18がフラのサークルで占められる。ホールなどは奪い合いとなり、毎日のようにどこかでハワイアン音楽が聞こえる。こんな公民館も珍しいのではなかろうか。
 また、街のフラ教室もいくつかあるが、調査しきれなかった。
 フラの衣装専門のブティックというのも石上にある。

ハワイアングッズ、服飾店

 さまざまなハワイアン小物やジュエリーの専門店も鵠沼海岸に多く、観光客も立ち寄る店になっている。観光地としての鵠沼海岸の土産物屋になっているのである。
 ムームーやアロハシャツといった服飾関係の店も兼ねていることもある。
 アロハシャツといえば2010年夏から、鵠沼市民センター職員の夏季の服装が「アロハビズ」ということでアロハシャツになった。これの先駆けは鳥取県の羽合(はわい)町だといわれ、茅ヶ崎市でも試みられたと聞くが、市民センター単位でというのは珍しい。
 肥上げ道沿いのサーフショップ、「ホクレア」は、ご主人がサーフボード、奥様がハワイアンキルトを扱っておられ、キルト教室も開催されている。

ハワイアン料理店と食品店

 日本人のハワイへの観光客が増えたせいか、ハワイアン料理というのもさほど珍しくなくなってきた。
 ハワイアン料理専門のレストランやカフェも5店舗ほど鵠沼で営業している。
 ハワイアンスタイルのアイスクリーム製造工房も開かれ、主にホテルのレストランなどに卸しているそうだが、週に2日ほど小売りもしている。
 また、石上にあったハワイアンベーカリー「カラヘオ」は、元町ユニオン鵠沼店内に出店した。本店は本町に移ったらしい。

美容とロミロミ

 駅前商店街のシャッター街化に伴い、新規開業するのは小売店でなく、美容院や接骨・整体といった健康関係の治療院、それに介護関係や歯医者が目立つ。
 なかにハワイ風をうたった美容院などというものある。
 ロミロミというのはハワイ島で古代ハワイアンが医療として行っていた伝統的な癒しの方法だそうで、ハワイに一般日本人が簡単に行けるようになった1970年代以降、日本でも知られるようになったという。
 そのロミロミを売り物にした店が、鵠沼だけで3軒もあるというのは、いささか驚きである。
鵠沼地区のハワイ文化関係店舗一覧(2008.06.01現在)    
  種 別  店  名 現地名 所在地
                              サーフショップ シーコング藤沢店 seakong 本鵠沼1-15-20
サーフショップ ザ・シャークス THE SHARKS 本鵠沼2-18-19 
サーフショップ トリムオフ TRIMOFF 本鵠沼2-18-20
サーフショップ ㈲アクエリアス AQUARIUS SURF 鵠沼松が岡1-13-9
サーフショップ リアライズ REALIZE 鵠沼橘1-3-12
サーフショップ タウンアンドカントリーサーフショップ TOWN & COUNTRY 鵠沼海岸1-16?14
サーフショップ ゴッデス鵠沼店パートワン GODDESS 鵠沼海岸1-3-20
サーフショップ ウォームアップスポーツ鵠沼本店 warmup 鵠沼海岸1-3-20
サーフショップ グラッド G・L・A・D 鵠沼海岸2-15-10 
サーフショップ ティズ TIZ 鵠沼海岸2-15-10 
サーフショップ グー goo 鵠沼海岸2-15-10 
サーフショップ ティー・スティック T-Stick 鵠沼海岸2-15-15 
サーフショップ CCC鵠沼 CCC KUGENUMA BEACH 鵠沼海岸2-15-16
サーフショップ ジェイド JADE 鵠沼海岸2-15-16
サーフショップ コーストライン Coast Line Surf 鵠沼海岸2-16-11
サーフショップ モンスターマッシュ Monster Mash 鵠沼海岸2-16-2
サーフショップ ホクレアサーフボード HOKULEA 鵠沼海岸2-17-5
サーフショップ オレオレ OLEH-OLEH 鵠沼海岸2-2-9
サーフショップ クォーターズ Quarter's 鵠沼海岸2-4-9
サーフショップ ジャニスエスディーピー Janis SDP 鵠沼海岸2-5-4
サーフショップ ビレッジ サーフ ショップ Village 鵠沼海岸2-5-9
サーフショップ サーフアンドサンズ SURF& SUNS 鵠沼海岸2-7-1
サーフショップ ショップショップ Shop Shop 鵠沼海岸2-7-7
サーフショップ レッドウェーブサーフショップ Red wave surfshop 鵠沼海岸3-2-13
サーフショップ カイウインド Kai wind 鵠沼海岸4-19-19
サーフショップ ザ・ユーエスエーサーフ THE USA SURF 鵠沼海岸4-3-26
サーフショップ ハーレイディーラーショップ湘南 HURLEY DEALER SHOP 鵠沼海岸5-8-23
サーフショップ ニューシーズ New Seeds 鵠沼海岸6-6-10
         ハワイアンアイスクリーム ヒロホームメイドアイスクリーム Hilo Homemade Ice Cream 鵠沼海岸5-10-10
ハワイアンカフェ オルオルカフェ Oluolu Cafe 鵠沼海岸2-4-8
ハワイ料理 カイアノア kai a noa 鵠沼海岸2-1-8
ハワイ料理 マカプウ makapuu 本鵠沼4-6-1
ハワイ料理 オハナキッチン ohana-kitchen 鵠沼海岸2-2-9
ハワイ料理 ティキズ TIKIZ 鵠沼石上1-4-3
ベーカリー カラヘオ 鵠沼店 Kalaheo 鵠沼海岸1-3-16
        ハワイアングッズ あぬえぬえ anuenue 鵠沼海岸2-5-9
ハワイアングッズ プナヘレ punahele 鵠沼海岸2-5-9
ハワイアングッズ フラ ハワイ 藤沢店 HULA HAWAII 鵠沼石上1-8-8
ハワイアングッズ ハレクーアイレア Haleku'ai Le'a 鵠沼松が岡4-11-22
ハワイアンジュエリー レイピカケ湘南鵠沼店 leipikake 鵠沼海岸1-3-19
ハワイキルト ホクレア HOKULEA 鵠沼海岸2-17-5
    ハワイアンライブハウス 湘南カイアロハ Kai Aloha 鵠沼海岸6-17-15
フラ スタジオ ナウパカ フラ スタジオ 湘南校 藤沢スタジオ Naupaka hula studio 鵠沼石上2-11-4
      ロミロミ マナリマ Mana Lima 鵠沼石上2-8-16
ロミロミ オイアイオ・リマ Oiaio Lima 鵠沼海岸3-2-13 
ロミロミ ハワイアンヒーリング ロミロミサロン ヒーレイ Hi'ilei 鵠沼花沢町3-18-203
美容室 湘南ビューティ・スタジオ Shonan beauty studio 鵠沼橘1-17-11
E-Mail:

鵠沼を語る会 副会長/鵠沼郷土資料展示室 運営委員 渡部 瞭

[参考文献]
  • 『保存版 ふるさと藤沢』郷土出版社(2010)
  • 高木和男:『鵠沼海岸百年の歴史 第二追補版』菜根出版(1987)
 
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