|
「鵠沼」を「くげぬま」と読める方は日本人のうちどれぐらいおられるだろうか。 鵠の字体このサイトをwindowsXP以前のOSで読んでいる方は、「鵠」の偏が「告」であるのに対し、windowsVISTA以降のOSで読んでいる方は、偏が「牛」の下に「口」の字体となっているはずである(フォントによっては対応していない場合もある)。これは、JIS X 0213:2004の改正によるもので、『康熙字典』(こうきじてん)に準拠した国語審議会の答申「表外漢字字体表」に示されている字体に合わせたのだという。 すなわち、偏が「牛」の下に「口」の字体が正字であり、それに合うよう修正したのである。 今でも続いているかは確認していないが、鵠沼中学校では新入生の最初の国語の授業で偏が「牛」の下に「口」の字体が鵠の正字であることを教える伝統があったという(私は2年生で転校してきたので、経験していない)。鵠沼小学校でもそのように教えていると聞く。 実際に街で見かける看板などでは、両者が混用されており、告偏の方が多いようだが、さすがに藤沢市の地名表示や、江ノ電、小田急などの駅名表示には伝統的に正字が用いられている。 ついでに藤沢市の地区名では「鵠沼」の他に「獺郷(おそごう)」という超難読地名がある。獺はカワウソのことで、日本ではニホンカワウソは、高知県の四万十川流域で1979年夏の目撃例が人間に目撃された最後の例となり現在では既に絶滅したと考えられている。そのニホンカワウソが、かつては獺郷でも生息していたのだろうか。旧小字名では、六会地区の「狼ヶ谷」、片瀬地区の「鯨骨(くじらっぽね)」がある。これら動物地名は、藤沢が自然豊かだった時代を遺しているといえよう。 |
||
E-Mail: | 鵠沼を語る会 副会長/鵠沼郷土資料展示室 運営委員 渡部 瞭 |
|
[参考文献]
|
||
BACK TOP NEXT |