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第0328話 湘南中學の楠

 鵠沼を語る会では、昨年度末から今年度にかけて「藤沢市の巨樹巡り」を有志で開催している。藤沢市の巨樹として登録されているものは北部の相模野台地上に多く、南部の湘南砂丘地帯には少ない。鵠沼地区では皇大神宮の「烏森」に集中しており、他にはあまりない。湘南高校の正門両側にはクスノキの大木があるが、このいわれには二説ある。

楠公生誕地または湊川神社から株分けした楠

 湘南高校の正門両側のクスノキの大木は、湘南中學の開校10周年を記念して校歌を制定した1933(昭和8)年の4月に植樹されたことは確かである。湘友会の記録には「校門の両側及び校庭の周囲に、楠公誕生地の楠の苗木が移植された。」とあるが、別説では「楠木正成の終焉の地に祀られた湊川神社から苗木を取り寄せて植樹された。」とある。前説ならば大阪府南河内郡千早赤阪村水分であり、後説ならば兵庫県神戸市中央区多聞通ということになる。
 いずれにせよ、楠公ゆかりの地のクスノキが植えられたわけで、これら関西の原木は戦災、さらに関西・淡路大震災で失われ、湘南高校のクスノキだけが生き延びて樹齢80年の巨木に成長しているのだ。平成の大修理の際に正門を拡げるために伐採の話も出たそうだが、同窓生を中心に反対運動が起き、残されることになったという。
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鵠沼を語る会 副会長/鵠沼郷土資料展示室 運営委員 渡部 瞭

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